余白を生むために心掛けていることはありますか?

忙しく仕事をしたり、仕事をいっぱい抱えるとそれはお金になるかも知れないけど、結局それって右から左に移しているだけみたいな感じになるじゃないですか。すごく人に感謝されることもあるし、それが社会に寄与することもあるんだけど、新しいことってきっと自分の中にあるような気がするので、ある程度落ち着いた余裕のあるときに、一回自分が何をやりたいのかを見つめ直してみると、「あ、これをやりたかったな」とか「これ、できるな」てことが出てくる。そういうことは余裕がないと生まれて来ないのかなと思います。

「食」のイメージが強くあります。最初からその道なんでしょうか?

元々は食がやりたくてテレビの世界に入ったわけではなく、映像の仕事がやりたくてこの世界には入りました。それこそ昔の深夜番組みたいなちょっと変わった番組がやりたくってやっています。元々食べることは好きなんですよ。でも食べることが好きだったら料理人になればいいと思うんですよ。でも僕には料理人になる腕も何もないわけです。元々映像を作りたかったけど、テレビ番組を作っているあいだにテレビの世界や映像の世界のなかにある「食」分野が勝手にどんどん仕事になっていった感じがありますね。

まさに料理の鉄人もそうです。それまでも料理モノの番組を担当していたことはありました。当然それは好きだからやるし、好きでやっているとさらに仕事としても増えてくるから、どんどん仕事として繋がっていったんですよね。様々なところで話題にしていただいたシウマイの本にしても、別に最初からそれを書こうと思ったわけでもないんですよ。

どんなジャンルだったらコミケに出れるかなと思ったときに、シウマイで本が書けるなと思って食べ方図説を書いたらああいう形になったんですよ。まずコミケありきだったので、何かコミケ用の本がもともとあって、それをどこで売ろうかというようなスタートではありませんでした。

流されることが良いのか悪いのか分からないですけど、でも流れに身を任せてみるのは意外と面白かったりすると思うんです。大学生のときは映画を撮ったりしていたんですよ。そこから映画のほうに行くんじゃなくて、テレビのほうに行きコアな深夜の番組をやっていました。でも、そっちをずっとやっているわけではなく、だんだん食のほうに流れていったんですよね。だから本当にどう転がるか分からないですよね。

最近食事をする上で意識していることはありますか?

あるお店の予約が取れたから行こうとか、いろいろ誘われるわけですよ。興味のあるところもいっぱいあるから行くんですけど、スタンプラリーのように次々行くことが目的になりがちになります。食べることはたのしいけど、毎日食べ続けているとだんだん疲れては来るんですよ。

そうなると敢えてサラダみたいなものしか食べない日を作りたくなったりします。あと眠くなりますね。カレーが好きなんですけど、カレーを食べるとご飯もいっぱい食べるからだんだんだんだん眠くなるんですよ。

そのあとの仕事中に体がドヨーンとなって、なかなか次につながらなくなるときがあります。だから、なるべく大事な仕事があるような日にはカレーやご飯ものを食べないですね。ちなみに眠くなる食べ物や眠くならない食べ物とがあって、それを分けながら仕事をしていくんです。炭水化物系は眠くなるんですよ。野菜系だとそんなに眠くならないです。何が眠くならないかってことを考えながら、そのあとの仕事を考えながら食べています。

最近良く食べるのが、大豆バーみたいなチョコレートバーが売っているじゃないですか。あれをよく食べるんですよ。けっこう朝ごはんはそれかも知れないですね。昔はちゃんと朝ごはんで美味しくご飯や魚を食べてたんですけど、眠くなるんですよ。バー系は食べても眠くならないし、意外と体重も増えないんですよ。そういったことも気にしながら、自分の体調を良くする意味でそれを敢えて食べることをよくやってますね。

食べるのが好きな市島さんにも、苦手な食べ物ってあるんですか?

納豆を小学校1年から食べなくなったんですよ。何で7歳のときにそんなことを思ったかというと、それまでは普通に納豆を食べていたんですよね。

でもある日、何でこんな面倒くさい食べ物を食べなきゃいけないんだろうと思い至った。納豆を食べると美味しいんだけど、ネバネバが伸びるじゃないですか。けっこう神経質だったんでネバネバが口につくと一回一回拭いていたんですよ。それでまた食べるとネバネバが伸びるじゃないですか。

一口食べるごとに何で口を拭かなきゃいけなくなるんだとなり、さらに納豆以外にもおかずがあったりするじゃないですか。唐揚げなどを食べるときに、納豆がついた箸で触りたくないんですよ。そうすると箸を拭ってからでないと他のおかずを取れないんですよね。例えば誰かが納豆がついたままおかずを取ると、7歳の僕が汚いと言ってたんですよ。

そうすると納豆を食べて拭くのループに陥ってしまい、ここまで面倒くさいことをしてまで食べるものなんだろうかと思ったんですよ。当時は体に良いとかは分からなかったし、7歳にしてこんな面倒くさいことをしてまで食べるメリットがある食べ物なのかと結論づけた結果、食べることを止めたんです。

それ以来「納豆は本当に正しい食べ物なのか」と小学生のときのクラスの友だちに言ったりしていたから、言った手前どんどん食べられなくなってしまった。合宿に行くと、そこで朝食に納豆が出るじゃないですか。無理だから一人だけ別テーブルで食べてましたね。もしまた食べるとしたら、よっぽど理由がないと食べられないですね。

食べることに求めるのは楽しさですか、効率ですか?

楽しく食べるのか、効率よく食べたいのか。

楽しく食べたいですね。楽しく食べるんだけどそこで効率も求めちゃいますね(笑)

ビュッフェが好きなんですよね。ビュッフェは遊び要素があるじゃないですか。子供のころだったら如何にして店を損させるかに傾倒するというか(笑)。如何にコストパフォーマンスの高いものを食べるかを追及したり、例えばタイムサービスでもう少しするとローストビーフが出てくるとか、そういう遊びを組み合わせながら楽しんでいました。

よくビュッフェに何人かで行ったりすると、気を遣って「皆で食べる用に」と言って、唐揚げとか持ってくるやつがいるんですよ。めっちゃ怒りますけどね(笑)。唐揚げは最初に食べたらボリュームがあるから他の料理が入らなくなるじゃないですか。

唐揚げはお店のワナですからね。食べても良いんだけど、自分だけが食べたい分だけ持ってこいと言いますね。あとビュッフェにも食べ方の順序があります。何周もおかわりするじゃないですか。一周目で唐揚げは絶対NGです。僕は鍋奉行はしませんけど、ビュッフェ奉行はしますね(笑)。

ビュッフェを一通り見たときにお寿司もラインナップにありますよね。お寿司は人気だからすでに3分の2ぐらい無くなっているときがあるじゃないですか。そのときには取っちゃダメだと思うんですよ。人気ネタは無くなっているし、残りものはそんなに状態がよくないんで、そこはスルーしておきます。でも、ちゃんとお寿司の追加がいつ来るかは気にしていて、来た瞬間にそこへ向かうわけですよ。そうすると良いものが取れるじゃないですか。ちゃんと会場に入る前にも同行者に言い聞かせますからね(笑)。