服という文化で意識の変わるもの、変わらないもの

早園

高校生の頃、父と昔よく話していて、何で制服はあるのかと聞くと、昔は貧富の差がけっこうあったと。

でもそれを自由にさせてしまったらどうなるんですかね? 髪だって別に好きにすればいいし、制服なんてなくても良いわけじゃないですか。

平林

僕は高校のときに一人で制服撤廃運動を繰り広げたことがあったの。一人でまずはじめて仲間を募ったら何人かはそうだよなとなった。でもけっこうがっかりしたのが、僕は生徒は全員自由がほしいと思っていたら、けっこうな割合でみんな制服が好きだった。毎日の服装を考えなくていい、選ばなくていいというのがあるんですね。

早園

けっこう日本人は、制服のあの限られたなかで遊ぶのが好きなんですよ。着物でもそうですけど、襟だけ変えたり帯だけ変えたり、そういうものが制服文化にたぶん残っているのかな。ちょっとした丈とか靴下の感じみたいな。

平林

たぶん日本人は自由に考えることに慣れていない人が多いから、逆に自由を与えられると不安になっちゃうんじゃないかなって思うんですよね。そんなことを昔感じて、今も感じていて、結果的には何も変わらないってことなのかなと。

早園

私服の高校でも、制服を着てくる子がいるっていいますもんね。

平林

好きならいいけどね。韓国なんてもっとひどくて日本の5倍くらい何かが流行ると全員同じですね。

早園

ちょっとアンドロイドみたいですね。

平林

男の子がある一定のメガネを掛けていたら全員掛けてる。何年か前はカナダグースのダウンジャケットだったかな。赤が流行っていて、駅に行くと若い男の子がみんなカナダグースの赤なんですよ。買えないような子は偽物を着ているぐらいでした。一年後はまだいたけど二年後はパッタリいなくなった。

今の諸問題を見ているといろいろ思いますね。全部右に倣えになっちゃうから。

平林

良いことも悪いことも右に倣えになっちゃうからね。

早園

ある先生が面白いことを言っていたのが、講義中に学生にいくら問いかけても反応がなくて、大人しいのは良いけど、君達、それはある意味サイレントテロだよねと。(笑)

平林

良いことと言えば、変なヤンキーっぽい子がいなくなった。

早園

そうなんですよね。そうそう。

平林

若い子は安定志向なんじゃないの。とにかく不安の中で生きてる感じ。僕の世代だと将来なんて何とでもなるように頑張ってれば、良い未来が待っていた。今の世代は生の声として聞いたのが、頑張っても大したことにならないとか、たかがしれていたり、頑張ってもどうにもならないことがいっぱいあるから、ヘタに頑張んない方がいいんじゃないかって風潮なんですよね。

早園

だから学生さんたちの作品も、ぶっ飛んでる子が少ないのかも知れないですね。

平林

無難なものが多くて作品という作品が出てきてないような気がしますね。ある意味写真も本気で取り組んでる人の数はすごく減っている気がしますね。こんなカメラはどこでも買えるから、カメラを機種問わず持ってる人の数は、かなり増えたんだろうけどね。それで表現をしていこうって人はそんなにいない。音楽のほうでも一緒ですね。でも、結局こういう服を見ても全部繋がってくるじゃないですか。

早園

そうですよ。それこそみんな本当にファストファッションですよね。講義で服を買いますか?って聞いても、服に興味のある子はほんの一部で、服を買ってもメルカリに出すことに躊躇しない世代だから、10〜20代の子たちは私達の世代とは全然考え方が違うんですよね。

平林

大量消費みたいなものはまだやっぱり続いて気もするんですよね。ちなみにROUROUで買われた服は、世の中には流行りがあるなか、10〜20年後に着てても使える服なんですか?

早園

ROUROUはオープンから今19年目になるんですけど、19年前の服を着てくれているお客さんもいますね。それこそユーザー同士の売り買いみたいなものが結構あるみたいなんですけど。結構根強い固定のファンの人たちが買ってくれています。もちろんみんながみんなじゃないですけど、捨てられないからと大事に着てくださっています。

平林

人並な言い方ですけど、良いものってけっこう時間を越えていいものじゃないですか。明らかに年代ものだなと分かったとしても良いものってあるでしょ。建物なんてそうじゃないですか。

カフェはなぜやろうと思ったのですか?

早園

オープンした頃から、石河がカフェもやりたがっていました。当時はあんまり中華街にカフェがなかったし、立ち上げ当初からROUROUを衣食住で表現したいという思いがありました。新宿マルイ店を撤退する時に、お店は無くなってもスタッフたちは残るわけじゃないですか、そういうこともありこの時をきっかけカフェを作りました。これがまさに余白的なスペースで、ここで企画会議とかすると良いアイディアが生まれるんですよね!しかし飲食店を経営するってアパレルとはまた違った大変さがあるんですよね。

平林

カフェだけをメインでやっている人はすごいですよね

早園

すごいですね。同じくカフェを経営する友人達の話を聞くと、どこもそれぞれの大変さがありますよね。飲み物だけでは単価が取れないし、毎日お店を開けても一定数のお客様がいらしてくれるとも限らない。そんなこんなで石河はどうか分かりませんが、カフェについては私は大切な余白スペースとして、適切な言い方かどうか分かりませんが、良い意味でゆるく続けて行きたいと考えています。

子育ての面では、今まで自分の時間だった部分が削られる訳ですから、ちょっと我慢しなきゃいけない部分もありますよね。でも逆に今まで知らなかった世界を垣間見れる事も多く、新たな世界を知り考え方も変わりますよね。

石河

マキの言う通り、衣食住でブランドを表現する事はずっとやりたかった。これまでにも何度かやりたいないと思うタイミングもあったんですが、実現出来なかった。ROUROUをオープンして1年くらい後にお隣に「悟空」さんという中国茶の茶楼が出来て、お隣に対する遠慮もありました。ROUROU cafe はメニューやスタイルも悟空さんとはバッティングしないように心がけました。やる前は「素人が手を出したら怪我するよ」とか飲食は簡単じゃないとアドバイスして下さる方も多かったんですが、それほど怖くはなかった。服屋だって、素人同然で始めた事だし、怪我だってこれまでの商売たくさんしてきてますしね。(笑)

飲食も難しいかも知れませんが、アパレル業だって簡単ではありません。まあ、もちろんカフェの立ち上げも苦労がない訳ではありませんでしたけど。

マキの言う通り、ミーティングで使ったり、スタッフがまかないを食べたりして、スタッフ同士のコミュニケーションが増えましたね。お客さんとのコミュニケーションも増えました。「こないだ買ったあのワンピース、凄く良かった」とか直接感想を聞く事もありますし、こういう商品があったらいいな、というアイディアを頂く機会もあります。

逆にCafeを目指して来て頂いたお客さんがcafeをきっかけでROUROUを知り、服や雑貨を買って頂く事もあります。あとはもっと儲かるといいんですけどね。(笑)

ずっと変わらずに心掛けていることは?

早園

お店に立ち続ける事でしょうか。お店に立つ事によって、お客さんがどんな生活をしているのか、どんなことを感じているのかヒントをもらっています。

今ROUROU以外でも、制服や他ブランドのデザインもさせていただいているのですが、それもやっぱり着る人知をらないとダメな訳です。つい半年位前にも建築系のジャンバーのデザインと制作をさせてもらったのですが、着るのは男性ですし、その業界を知らないので、最初は全然イメージが沸きませんでした。でもリサーチを重ね、担当者と何度もミーティングを重ねる事により、イメージが沸いて来るし、この人達の為に機能的でカッコいいブルゾンを作ってあげたい!という気持ちになるのです。実際に着る対象の人を良く知る事がデザインの基本ですね。

石河

ROUROUを始めた当初から、服作りを通じてアジア女性に自らのアイデンティティを感じて貰ったり、服を作ることでその人や社会の役に立つ事ができればいいなと考えてきました。ちょっと大袈裟に言えば、着る事でその人や周りを幸せにできる服を作れたらいいなーと思っています。「流行っている」から、とか「着やすいから」、とか「安かったから」以上の「何か」をお客さんに受け取ってもらえたら嬉しいですよね。