これまで本屋を取材して感じたこと

本屋になりたくはないけど、なっちゃったみたいな人が実はいっぱいいるんだなと思いました。もちろん本屋になりたくてなる人も増えているけど。例えば長野の上田にある「コトバヤ」さん。ここの店主は別に本屋になるつもりはなかったそうです。ただ自分がひとりで何かの店をやるんだろうとは思っていた。本屋だとは全く思っていなかったんだけれど、色々な人のつながりや流れの中で本屋になったんです。店主自体はめちゃくちゃ面白い人なんですよ。そういう雰囲気の人や、尾道の弐拾dBさんも別に古本屋をやりたいわけじゃなかった。尾道が古民家再生の取り組みがめちゃくちゃ盛んな街で、空き家再生プロジェクトがすごく成功している場所なんですね。そんな尾道で若い人がプラプラしてると、お前も店を持たないのかみたいことをわりと言ってくるらしいんですよ。そうしたらじゃあ本屋かなみたいな感じで始めたみたいなんです。

僕自身は色々考えて、迷って、結局流れのまま今はいます。ある程度方向性は決めながら、自分の居る場所だけは間違えないようにするところまでは、ようやく行けたけど、でもその前は何者かになりたいから色々肩肘張ってやるわけじゃないですか。でも実際は「そういう」ことじゃないんだと、なるようになるんだなと。本当にそういうことじゃない人が、実はいっぱいいるんだなってことを思いましたね。

取材で会った人の話を聞いたり自分自身の経験をしていく中で肩肘張る必要ないんだなとか、大事なのはそこじゃないことを学びましたね。

自分が何者かになりたい、何かをしたいと奮起したときにネットで調べていくと起業家の話がたくさん出てくるじゃないですか。俺はこれを解決するんだみたいなものとかばかり出てくる。そういうのだけじゃない、そうじゃないものもいっぱいあるんだって思えるようになりました。

ある程度考え過ぎないようにするのはすごい大事で。僕はすぐ頭でっかちになっちゃうので。そうすると動けなくなっちゃうし。

本屋ライターが向かう先

ここの本屋をやる前には前段があって、2017年に西荻窪で週一で本屋をやっていたんです。西荻ペーパートライというところで毎週土曜日にやっていたんですけど、そのときに本を複数執筆していた関係で全然店に立ててなかったんです。それにどうやらライターの方が求められている感があるし、店を畳んでライターをメインにしようって決めました。それで本の取材をしている時に、取材先でそのことをめちゃくちゃ言ってたんですよ。「本屋やってたよね?」と言われると「そうなんですけど、やっぱり僕はこっちの方が大事かなって。こういう僕の今の立ち位置の人はいないし、こっちに集中した方がいいと思うんですよ」とすごく偉そうに話していたんですよ。

それで取材から帰ってきたらすぐ今の店の話が来て。でもずっと世話になっているし、断る理由もないしなって思って、そこではじめて、コンセプトを考えた結果、今のような形になったんです。

何年かしたらここを拠点にしながら、他の店のことをたくさん取材をしつつ、独立本屋情報のプラットフォームをちゃんとやらないとなと思っています。というのも、本屋や本のある場所を好きな人たちにとって必要なものや楽しいことをどんどんやっていこうと思っているからで、ユーザーベースの視点から本屋を盛り上げていければと思っています。独立本屋情報のプラットフォームもそのひとつで、特にいまはブックショップトラベルという旅のスタイルを推したい。その場所場所にある本屋さんを目当てに旅行することですね。これも本屋好き(=ブックショップラバー)になってもらうための一つの入り口だと思っています。

何でユーザーという話になるかと言えば、ずっと一人の本屋好きとして活動してきた僕の立ち位置からしても、ユーザーの部分から、小さい本屋、独立本屋をバックアップするというとおこがましいけど、少しでも役に立てるようなことをしていくのが自分にとっても自然だし、求められることだろうなと思うからです。だから、「小さい本屋、独立本屋は楽しい」ということを一番のユーザーとしてずっと言っていきたいですね。

そのためのインフラを整えていく役割として色んな本屋さんに行って、楽しく呑んだくれるような感じで暮らせたらなって思っています(笑)。