もともと東京生まれなんですか?

練馬区生まれで、その後もだいたい東京の西側、環七通りと環八通りのあいだに住んでいます。もともとデイリーポータルZはニフティが大森にあったときに出来たんですけど、いまオフィスのある用賀は、大森みたいに緊張感がなくていいんですよね。デイリーポータルZは世の中で起きていることをネットで伝えるコンセプトなので、自家中毒になるからネットで起きていることは伝えないんですよ。だからネットで話題になってる話の類は無視しているんですよ。

オンオフが続いている

僕は仕事のオンオフがはっきりしてないから、時間的な余白みたいなものがないんですよね。家でも仕事をしちゃうんですよね。起きてすぐパソコンの前に座り、「もうダメだ眠い」ところまで仕事をしているからワーカーホリックですよね。

地味ハロウィンは、もう何回目の開催ですか?

六回目ですね。地味ハロウィンはアーリーアダプターから広がってスケールしはじめた感じがあります。「知る人ぞ知る」から脱却してお金儲けたいですね。

「死ぬかと思った」という本を作ったときに、あれもネットのちょっとした笑いを集めて文庫本にしたら地方のツタヤではすごく売れたんですよね。いわゆるネット文化じゃない違う層にウケたんだなと思いましたね。売れるためにはインターネットの以外のところにリーチしないといけない。

今回は人数制限をしたのですが、515人ほど来ましたね。200人の入替制で515人でしたね。参加した人同士で話が出来る感じだったので、程よい感じでしたね。

社会的意義を問われることがよくありますよね

そうですね。地味ハロウィンは渋谷へのカウンターですかと言われるんですけど、そういう時はだいたいどういうコメントが良いですかとテレビの人に聞いて、何の意思もなくその通りしゃべっています。

平林

こうしてくださいってきちんとあるんですか?

林さんの自由なコメントで良いんですけどって言いながらも言ってくれるので、それを言いますね(笑)。向こうが欲しいストーリーをメディアは持ってきますよね。たしかにストーリーもないと分かりにくいんですよね。あやふやになるので。

ひねくれているところから、生まれてくるもの

僕はずっとメジャー志向なんですけど、メジャー志向じゃないように見えるのは、たまたまこれまで売れてなかっただけですね。本当はもうカウンタックとか乗りたいです(笑)。天の邪鬼で言っているところもありますが。

でも、分かる人は分かるんだよみたいなノリが嫌いなんですよね。それだと意地悪だし、分かりにくいものは良くない。そういう意味ではもう一回転ひねくれている感じがしますね。デイリーポータルZがだいたいそういう感じです。ひねくれているのがカッコ悪いから、素直な方が良いってひねくれですね。全体的にそうです。

週刊誌やテレビのワイドショー的な単なる皮肉はカッコ悪い。でもそれを言うより自分たちで違うものを作る。デイリーポータルZの記事で、自然だったり山へ行っちゃうのは、素で山が好きなわけではないところもあります。他にも、インターネットでインターネットの話をするのは良くないと言い出すのは、それもひねくれている考えですよね。じゃあ海で釣りしちゃおうみたいな、そういうところはありますね。

そのひねくれ感は林さんが持っているトーンなのか、結果的にそうなったのか?

何となく最初はそういうトーンで始めたのかな。これから渋谷のハロウィンを見に行こうと思ってますもん。あれをみんな悪みたいに言うじゃないですか。でも一回ちゃんと関わっていたほうがいいんじゃないかと。2010年代後半にこんなに騒ぎになっているのは見て記録した方が良い。それを伝聞で聞いて悪だとか言わない方が良いかな。行ってみてやっぱりヒドいとそれはそれで面白いですけどね。そういう残念さも俯瞰して見ると面白いと思います。

地味ハロウィンで某テレビ局が取材に来たんですけど、子どもレポーターが来ますと告げられ、その時点で「おやっ」とは思ったんです。さらに子どもたちが踊るので、入り口で踊っていいですかと言われて、全く訳が分からないですけど、何でもいいからOKやっちゃえと思って。子どもが来て踊り始めるのも俯瞰で考えるとおかしいわけです。会場の中も大混乱なのに、入り口で踊っている子どもたちがいるんですよ。もうコントみたいですよね。俯瞰で見たら大概面白いですよね。

地味ハロウィンみたいなイベントが得意だとは思いますね。面白いことがやりたい人を集めて、そこで面白いことをやってもらって、僕もその中で一緒にやるような企画。デイリーポータルZも引いて考えればそうですよね。面白いことがやりたい人をライターとして集めて、面白いことをやってもらう。そうかコミュニティーを作るのが得意だったのか、おれは。今更気付きましたね。「死ぬかと思った」本もそうだし、意外と自分が作るほうじゃないほうが得意なのかな。自分起点でルールやトーンを決めて、人に踊ってもらう。そして自分もいっしょに踊るような感じ。

顔が大きくなる箱も同じようなコンセプトですよね

そうなんですよ。あれもそういう装置だけ作り、あとはやってもらうからね。顔が大きくなる箱と比べ、地味ハロウィンは見た目を考えなきゃいけないから、少しハードルが高いんですよね。それでも結構みんなあれだけやるから、もっと自由度を上げても良かったのかなと思った。これまでルールをガチガチに決めて、俺の考えた面白さを体験しろだったんですけど、もうちょっとゆるくても、みんなセンスがあるんでノッてきますね。

そういう意味で、ガチャガチャも含めて、生み出しているものは全て延長線上にありますよね

そうなんです。そう捉えているんですよね。流れ的にはそうなんですよ。面白くなるおかしなシチュエーションを作り、それをやってもらう。地味ハロウィンは、面白いって言われたい人がすごくいっぱいいたんですよ。ネットで面白いことを書いたらバズる経験があって、その快感を知っていてやりたい人がいたんですよね。カワイイはカメラアプリで可愛くなったり、インスタ映えする景色みたいな”場所”があるんだけど、面白くなれる”場所”はあまりないんですよね。面白くなれる場所や道具があまりないんですよ。だから地味ハロウィンがそこになれたのかなって。きっと面白くなるインスタみたいなものがあればいいんでしょうね。

結局、地味ハロウィンは場所をちゃんと用意しているから、そこで統制が取れているけど、渋谷みたいな雰囲気でハロウィンをやらせているから、結果的にあんなことになっているんだと思いました。

そうですね。ハロウィンを研究してる人によると、渋谷だけが統制が取れていないらしくて、川崎も池袋も主催者がいて、パレードをするルートも決めているんですよね。渋谷だけ主催者なしの集団になっているから、ああいうことになってますね。

場所と緩やかなトーンでルールを決めておけば良いんですけどね。誰かがルールでこうしなさいと言っても従わないだろうから、そのルールに従うとモテてる様子が見られたりするといいんでしょうね

そういう意味では、林さんは先進的な事例を実は作っているんじゃないですか?

そうですね(笑)。僕がやるのはコンテンツありきのコミュニティですね。僕は自由な小さな政府が良いと思っているので、誰かが上からルールを決めるんじゃなくて、その場所から生まれるルールや、そういうものになるといいとは思いますね。都がルールを決めるとか、こんなレジャーまで官に面倒を見てもらわなくてもいいじゃないですか。だから渋谷のハロウィンも上手く行くといいなと思ってます。

地味ハロウィンもそうですけど、たいていお店やそういうイベントのハロウィンは、最終日の直前の土日にやるじゃないですか。そこでそういうイベントがあったんだと盛り上がって、31日の渋谷はどこにも行けない人の最後の受け皿になってますよね。それが余計に質が悪くなるところでしょうね。

場所問題は大きいですよね。

渋谷は何であんな感じになるんですかねぇ。改元のときも渋谷を見に行ったんですけど、改元のときもすごく盛り上がっていて、騒ぎたい場所になっているんでしょうね。騒いでいい場所になっているのはおかしいですよね。