プロジェクトベースのひとり会社

メインでやっていることを教えて下さい。

矢島

モノ作りをやっていて、 自分の会社「techika」をやっています。ひとり会社で、主に受託案件をやっています。

実際に手を動かすのか、それともプロデュース的なアプローチが多いの?

矢島

プロデュースもやりますが、基本はモノ作りが多いです。 一緒にアイデアも考えたりしますが、例えばある展示会のために、こういうモノを作りたいとプロトタイプ(一点もの)を受託で作ることが多いです。

相談から始まるわけですか?

矢島

そうですね。それとは別にワークショップデザインもやっています。それはtechikaでお受けする場合と、乙女電芸部というグループの部長もやっているので、そのどちらかで受けます。乙女電芸部は作家的な要素も少しあるので展示を作ることもありますね。

他にも「しっぽコール」というプロダクトを作っています。これはtechikaとルースヒーズガーデンという別会社と協業で作っているんですけど、10〜30代女性向けの持っていてかわいい防犯ブザーを作っています。この世代はほとんど誰も防犯ブザーを持ってないじゃないですか?

持ってないですね。

矢島

「しっぽコール」はスマートフォンと連動させるIoTの防犯ブザーです。防犯ブザーとも言いたくなくて、バッグチャームを作るつもりです。

たしか慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)でも?

矢島

あっ、非常勤講師もやっていますね。慶應義塾大学の非常勤講師として電子工作を教えていますが、モノづくりとワークショップが絡んでいるので、やってることはほとんど他の活動と同じです。あとたまにセミナーやイベントで講演することもあります。

モノづくりのきっかけ

もともとはあまり工作好きな子どもではなかったです。たまたま高校生のときコーネリアスが好きで、そのPVがメディア芸術祭の10周年記念展で受賞していて。それを見に行ったら感化されてしまい、SFCでメディアアートを勉強しようと決めました。

学生時代はメディアアートを勉強していたんですか?

矢島

はい。ちょうど入学したら、たまたまそのメディア芸術祭の時に展示していた人が、同じ年に先生として赴任されました。だから「あっ、この人に教わろう」と思って、研究室にも入って。

おお、なるほど。いいですね。ちょっとしたきっかけがまたつながって。そこから大学院へ進学したと思うんですが、就職は考えなかったんですか?

矢島

就職はしようと思った時期もあり、大学院へ行く前にチームラボを受けていたんですよね。ただいろいろあって進学することを決めたので、結局インターンには行きませんでした。それで東京藝術大学に進学しました。論文を書くよりもモノを作りたくて、藝大に進みました。藝大は基本的にモノを作ってどんどん発表することがメインなんです。

SFCのころから乙女電芸部の活動をしていて、藝大時代はパナソニックさんと講演だったりコラボレーションで仕事をしました。そのときに契約のこともあり早く会社にして欲しいと言われて。

だから学生の時からお仕事を頂き、その延長で作った会社なので、大学院の時は就活はしてないです。ちょうどそんなタイミングで、DMM.make AKIBAがオープンしたんですよ。そこでスカラシップ制度が始まりお誘いいただいたので、ここに会社を登記しました。自分1人が食べていける範囲を稼げる会社を始めました。

そのままの流れから、DMM.make AKIBAに登記して入ったら、そこでコラボレーションはあるの?

矢島

実はそんなにここでお仕事を貰うことはないんです。ですが、10Fに工房があるんですけど、そこでテックスタッフに相談をして、基板設計などを見てもらうということはよくやっています。気軽に相談できる人がいっぱいいるのがすごくプラスです。特に一人でやっていると、壁打ち相手が欲しい時があるので、その際は技術的なことを相談し、それが自分の中でうまく働いています。

なかなか一人だと大変だよね。電芸部だと?

矢島

電芸部のみんなで集まって作業する時は、基本的に独り言言いながら作業してるんですよ(笑)。独り言っていうより言葉を宙に投げ、「あっ、これはこうだな」みたいなことを言いながら作業してるんで、誰が何をやっているのか何となく分かるんです。それを見たとある美術館の人に「ツイッターみたいだね」って言われました(笑)。

平林

基本的には独りなんですか?

矢島

そうですね。ひとり会社なんで。

平林

僕も独りなんで感じますよ。やぁこれは切実ですよ。

矢島

だからこういうところをオフィスにすると、いいですよ(笑)。

平林

物理的に部屋の中にずっといることが多いんですか?

矢島

家にいることもありますし、DMM.make AKIBAだと10Fのサーキットルームにこもったりもします。

平林

目の見える周りに人がいない環境が多いですか?

矢島

そんなときもあります。誰かはいるけど、ここにいても知り合いや話しかける人がいないこともあります。

平林

みんないっしょに見えるけど、それぞれバラバラなんですね。

矢島

そうですね。入居しているのはみんな違う会社さんなので。

アイデアを形にするのが難しいモノづくり

矢島

でもモノを作ることは超大変ですよ。アイデアを形にするハードルが高いです。

平林

アイデアまではいっぱい出てくるんですか?

矢島

そうですね。そのアイデアのプロトタイプをとりあえず動く形にはできるんです。でもそれを今度初めて量産する予定なんですけど、そこは悩みが多くて。

今までの経験上、プロトタイプまではけっこう出来る?

矢島

そうですね。もうずっと大学からやってきたんで、そのための筋肉みたいなものはすごくついています。

そこから一般的な製品にしていくところが難しい?

矢島

まだまだ苦労してます。

素人考えだと、プロトタイプをいっぱい作ればいいと思うんだけど。

矢島

そういった一点物を作るとか、一ヶ月動けばいいものだったら、得意な仕事だからいっぱい作れるんですが。

平林

それは技術面の難しさですか?

矢島

技術面より製造するほうが大変です。

平林

例えばプロトタイプはその時にはコストがいっぱい掛かるわけじゃないですか。それをいっぱい作ったとき、どこまでコストが抑えられるか。この機能は省くしかないなどありますよね。

矢島

そういうことです。部品1点1点をどこから調達するかで、どこの工場かで予算も変わります。他にもそのままこの機能を付けると工数が掛かり過ぎるとか。本当に1つ1つ全部洗わないといけない。今からモノを見せていいですか?