他にも取り組まれていることはあるのでしょうか?

もともと湘南ベルマーレにはサッカーだけじゃなくていろんな競技のスポーツの振興をすることで湘南地域を盛り上げて、幸せな地域にしたい想いがあります。だからビーチバレーを皮切りにトライアスロンを始めてと増え、今では5競技チームがあるんですね。そのなかにフットサルもあります。フットサル協会はサッカー協会のなかにありますし、いろんなチームがフットサルの普及のために力を入れたらと思うんですが、もうFリーグが始まって10年経つんですけど結局JリーグのなかでFリーグのチームがあるのは湘南ベルマーレだけなんです。

新しいことへのチャレンジを湘南ベルマーレはしやすい環境ですし、e-スポーツもこれからますます盛り上がっていくでしょう。だったら力を入れて所属選手もしっかり育成しようということでスタートしました。私たち働くスタッフとしては日頃から、色々なことにチャレンジできる環境があります。今度は東京オリンピックもありますが、オリンピックでは恐らくビーチバレーチーム所属選手が出場することになると思いますが、サポーターの皆さんやこの地域の方にはいろんなスポーツを楽しんでもらえます。サッカーだけじゃないというのはすごく面白いなと思いますね。

それこそ99年にクラブ自体が存続危機になったんですけど、そのときは本当にクラブが消滅してしまうのではという苦しい時代でした。でも本当に良かったなと思うのは自分たちを見つめる機会になったことです。自分たちが何に支えられているのか、何でこのチームが存在しているのか、別にサッカーがなくても人は生きていけるけど、どうしてこのチームが必要なのかそういうことを身をもって無くなるかも知れない苦しさを体験しました。支えてもらうありがたさも痛感したし、そういう体験がこの湘南地域のためになることをしようという一本の軸のもとに拡がっていっている感じです。苦しい時期を耐え、でも耐えながら新しいことを繰り返しているときで、10年ぐらいはその連続でした。

いろんなサッカー以外の競技に参加することでのシナジーとは?

選手同士も刺激を受けますし、私も違うサッカーではない現場に行って「あ、こういう考え方があるんだ」とか、「こういうメディアの対応の仕方があるんだ」など、そういうことが勉強になったり世界が開けましたね。サッカーだけをやっていたときは井の中の蛙だったと感じます。

まだそこまでメジャーではないスポーツに力を入れてます。湘南らしいスポーツをやろうって感じがありますね。お話はいっぱい来るんですよ。でもベルマーレでやりたい人ではなくて、この競技を何とかしたいんだと思っている人と一緒にやることのほうが多いですね。その競技に本当に愛情を持ってもっと普及させたいとか。情熱がないと一緒にやっても湘南ベルマーレの名前だけで出来るほど甘い世界ではないと思います。

それこそ私も当時は何にも分かってなかったからって感じですよね(笑)。意外と話を聴いてくれるという意味では本当にそうです。話だけは聴いてもらえるので(笑)。募集してないってことはそう思うと逆にチャンスなんですよね。結局ドアを叩いた人だけがチャンスを掴めるかも知れない。募集されちゃったらいろんな人が応募出来ちゃうから(笑)。

成功体験ではないんですけど、こういう感じで湘南ベルマーレに入ったという一つの事実があるから、わりといろんなことにそれを応用しているところがあります。例えば広報のときもアポなしでいろんな出版社を回ってみたり、3年間の営業経験もそういう意味ではアポ無しで行くのは全然苦じゃなかったです。もちろん相手は迷惑ですが(笑)。一つ若い頃の何とかなったみたいな勘違いも含めたものが、わりと今も生きてますし、何とかなるとは思うんですよね。

Jリーグがまさに始まったころのあの感覚を憶えているから、もちろん今のJリーグの盛り上がりもあるものの、でもサッカー好きじゃない人まで盛り上がったあのときの盛り上がりの体感はもう一度日本の中で起こせればと思いますね。みんなが興味を持ってほしい。

移り変わりが激しい業界のイメージもありますが、そこで学んだことを教えてください。

スタッフも少しずつ入れ替わりはありますけど、選手はどうしても替わっていきますね。サッカーは野球と違って移籍が多いですし、国内も海外も含めてチームを移っていくスポーツなので、デビューして同じチームで引退出来る選手はなかなかいないような世界です。ステップアップで移籍していく選手もいますし、逆もありますし。本当に選手って毎日の練習の中で1プレイ1プレイ評価されて、毎日誰かと比べられてチームメイトがライバルという状況。でも一体感は生まないといけない本当に複雑な中にいると思うんですね。

彼らは全然そういうものを出さずに隣の人のことも応援するような世界なんですけど、本当に選手から学ぶことってたくさんあって、こういう人生を生きたいなと思ったりとか、18〜19歳の選手から教えてもらうこともありますし、こういう考え方があるのかと思ったり。落ち込んでもすぐに立ち上がってまた進んでいくといったことの連続ですね。

いま余白が一つキーワードなのですが、ご自身で感じる経験があれば教えてください。

自分ではあまり考えたことはないんですけど、数年前までは仕事が楽しすぎて仕事しかしてませんでした。それは無理していたわけでも全くなく、私自身もそれが良かったんですけど。

3年前に営業に異動したときに、広報ほどチームと行動が一緒なわけではないので、それこそちょっと余白ではないですけど時間が出来たんですね。そのときに鎌倉へ引っ越しして海のスポーツを始めました。それまでもちろん休みに遊んだりはしてましたけど、今まで味わったことのない本当に自分の時間というか自分の自由な時間を感じて、けっこうハッとさせられたことはありました。その後広報に戻りましたけどその時間も今は大事にしています。もしかしたら営業に異動したタイミングはポイントだったかも知れません。

鎌倉に引っ越ししたのもすごく良くて、新しく出会う人や新しく出会う場所とかそういう仕事以外で出会うものに初めて出会うことが多いですね。

湘南ベルマーレで働けていること、そこで仕事が出来ていることは本当にありがたいことですし、私にとっての宝だと思います。でもそこに行って自分がやることの意味というか自分の力が本当にベルマーレのためになる仕事が出来ているかというと、そういう意味ではまだそれは見つかっていません。そのこと自体は宝ですけど、私は押しかけ入社だったこともあって、ずっと恩返しをしたいと思ってずっと仕事をしています。

でも全くそれが終わらないというか、今もずっともらうばかりです。日々なかなかありがたいことにこういう仕事はなかなかないだろうなと思うのは、嬉しくて泣いたり叫んだり、悔しくてみんなで涙したりみたいなことがわりと日常にあり、こんな仕事はないと友だちにも言われます。こんな大人になってないでしょうって。知らない人と抱き合ったりガッツポーズするなんて他の仕事ですることはないでしょうって。

それこそどうしても勝敗がありそこに向かうまでの選手たちも見ていて、応援してくれている人たちが本当に応援してくれているので、その想いを思うとグッときます。

ルヴァンカップで優勝したときは、こんな嬉しいことがあるんだって思いました。