大切なことは、日本のコンテンツが教えてくれる。

正義VS悪みたいな考え方は、やっぱり仮面ライダーみたいな勧善懲悪ものが与えている影響があるんですかね?

玉置

でも平成ライダーになって、どんどん関係性が複雑になってきたよね。そんな善悪じゃなくなってきてるよね。

平成ライダーは平成ライダーで、そういう価値観でやっているのが時代に即していて良いですよね。

玉置

水戸黄門でも全然いいんだけど、ただ結果的に時代が昭和から平成になって、平成ライダーを見てくると、プリキュアもそうなんだけど、どんどん複雑になってますよ。でも複雑になるってことは進化なんですよ。単純な構図じゃないってことを作っているほうもだんだん漫画とか特撮のほうに忍ばせていっている。

最近のプリキュアだとだいたい一般の人たちのネガティブな気持ちをモンスターにするパターンが多くて、これは複雑ですよ。

平林

子どもは分かるんですかね?

玉置

プリキュアはもうめちゃくちゃウケているんじゃないですか(笑)。最近のプリキュアはすごいよね。悪魔とか怪人とか怪獣がいるんじゃなくて、子どものなかのネガティブな気持ちを悪の組織が刺激をすると、怪物になるって設定なんで。

平林

スターウォーズみたいですね。

玉置

そうそう、そうそう。

例えば機動戦士ガンダムシリーズで、勧善懲悪な世界が描かれたものを当時の子どもたちは見た。いま平成ライダーの描く世界を子どもたちが見るなかで、そういう複雑で善悪だけでは言えないということを学ぶってことはあり得るんですかね?

玉置

だから平成ライダーもそうだし戦隊ヒーロー、例えば今のリュウソウジャーもそうだし、ニチアサ枠はすごく面白いよね。ニチアサは本当に楽しいんで、プリキュアを見てライダーを見て戦隊ヒーローを見るよね。

平林

今の作り手たちはけっこう考えがあるんですね。なあなあでは作ってないんだ。

そういう番組を見て子どもや大人も学べる要素があれば、もっと将来は明るい気もしているんですけどね。

玉置

僕は子どものころは特撮とかアニメしか見てなかったんで。

平林

僕はドラえもんで育ったなぁ。。。

玉置

僕には子どものころに見た怪奇大作戦が、重要で本当に影響がすごく強い。影響を受けたのが怪奇大作戦とルパン3世の1stシーズン。それと決断という戦士もののアニメがあって、この辺にはものすごく影響を受けていますね。宇宙戦艦ヤマトには少し距離を置いていて、機動戦士ガンダムにはすごくハマりましたね。

やっぱり勧善懲悪主義な人が多いですからね。。

玉置

だから基本そうじゃないものに惹かれるよね。ルパンの1stシーズンなんか捻くれまくっているし、機動戦士ガンダムもそうだし。ルパン3世の1stシーズンは本当に面白いですよ。

平林

1stシーズンのルパン3世は悪い人じゃなかったですっけ?

玉置

2nd以降のようなキャラではなくもっとニヒル。大塚康生さんが作画監督。まさに東映動画から出てきたので、いま朝ドラの「なつぞら」で麒麟の川島がやっている役が大塚康生さんなんですけど(笑)。1stシーズンのルパン3世はすごく好きなんですけど、実は2ndシーズン以降はそんなに好きじゃないんですよね。もともとモンキー・パンチが好きなんです。原作のあのシニカルな感じで、シュールな話がすごく好きで。

平林

ぼくは、2ndを見たあと1stを遡って見ていました。

玉置

それでいうとルパン3世の1stシーズンは視聴率が悪かったし、機動戦士ガンダムも視聴率が振るわず短縮になってますから、両方とも完全オンタイムで見てましたね。

機動戦士ガンダムも最初から見ていたんですか?

玉置

もちろん、もちろん。

まだ機動戦士ガンダムもブレイクする前ですよね。

玉置

そうそう。そうなんですよ。だからルパン3世の1stシーズンをオンタイムで見ている人もなかなかいないと思うんですよ。

機動戦士ガンダムシリーズは全部見ているんですか?

玉置

だいたい見てますけど、のめり込めるものとのめり込めないものはありますね。だから周りで言うとあのころは圧倒的に宇宙戦艦ヤマトが人気あったんですけど、ちょっと作風が右過ぎて僕はついて行けなかったというか(笑)。ウルトラマンも僕はウルトラマンタロウやウルトラマンレオまでは見てましたね。

平林

今は新しいものは出てきてはいるんだけど、面白いと思えるものは、やっぱり昔の古いものと何らかの関係があったり、リメイクばっかりな気がするんですよね。ゴジラだってゴジラも昔からありますでしょ。

玉置

僕はいま家族は大阪なんで単身赴任で、1ルームマンションに住んでいるんですけど、1人になったせいで、アニメが自由に見れるようになったんですよ(笑)。

だから今ほとんど放送しているアニメを全部見ているんですよ。それで言うと今も素晴らしい作品はいっぱい生まれています。

平林

僕が知らないだけですね。

玉置

アニメを見ることはもともと好きだったんだけど、家族がいるとなかなかアニメは深夜にやっていることが多くて見れないし、大阪ではアニメをそんなに放送してないんですよ。東京では過去の傑作の放送が、死ぬほどやっているからそれも全部見れる。だからこの単身赴任の約4年間は、アニメと本気で向き合って仕事と関係あるようなないような感じ。

実際には新海誠ウォーカーやいろいろなアニメのウォーカーも作ったので、結果的に仕事にはなってます。だからアニメというものに向き合うなかで、ちょうどいま朝ドラで「なつぞら」がやっていたり、日本の文化表現の中でアニメは重要だと思うんです。それを僕も初めてちゃんとアニメに向き合うようになって見てきた。

やっぱり小説や芝居、映画といろんな表現があるけど、アニメの世界はすごく1つの世界があるし、当然京都アニメーションに対する思い入れも強くて、そこであの事件も本当に、もう他人事ではない。それこそ最近でも響けユーフォニアムもオンタイムで放送を見てたし、劇場版も見ました。だから結果的に付き合いがある人たちも、アニメや特撮系の研究者・専門家たちがすごく多いんです。やっぱり自分のなかでどう咀嚼されるのかは分からなけど、僕の中ですごくアニメって表現は大きいと思います。そういう意味で僕が欠けているのはゲームで、これが全然駄目なんです。本当にゲームに関してははゼビウスから止まっていて。

平林

僕も似たようなものでドラクエで止まってる。

玉置

RPGは全くやってないですね。何となく周辺的には好きなんだけど、結果的に全くゲームはやってなくて。

平林

今のゲームの状況は分からないけど、ゲーム好きな人が言ってたのは、ゲームは世界観がそこにしっかりあるらしいんですよね。

玉置

ゲームの世界はすごいし、いまKADOKAWAでいうと、基本的にアニメとゲームが一番重要な柱でやってます。例えばアニメだと日本の年間の売上は、2兆数千億円を越えているんですね。出版業は1兆4000億円ぐらいでとっくの昔に出版業はアニメに売上が抜かれているんです。

ゲームでいうと最近よく耳にするe-sportsも、もう全く新しい局面に入っていて、ゲーム「DARK SOULS」を作っているゲーム会社のフロム・ソフトウェアは、ゲームの世界では世界中から尊敬されている会社なんですが、いまKADOKAWAグループなんですよ。彼らがちょっと前に発売した『SEKIRO:隻狼(せきろう)』が、超難しいゲームとして話題になっているんですけど、売上が凄まじくて、圧倒的にアメリカなどで売れているんです。

もともとDARK SOULSもアメリカで300万本以上売れているので、だからもちろん任天堂やSONYのハードもあるんだけど、ゲームの世界はやっていない僕が言うのは門外漢だけど、やっぱりすごく面白いですよね。

玉置さんは自分が主人公にはなりたくないんじゃないですか? 情報の流通の面からも見ているほうがいいみたいな感じがあるような気がします。

玉置

本当に何で僕は自分がゲームをやらないんだろうと思いますね。

ゲームはやっぱり本人が主人公になるからじゃないですかね。

平林

その違いはあるかもね。

主人公になりきりたい人ほど、ゲームにハマることはあるんじゃないかと思いますね。

玉置

他に僕が弱いジャンルは芝居です。舞台も本当にあまり見てなくて、若い頃は野田秀樹も見ていたころはあったんだけど、例えば三谷幸喜さんの舞台なんかは全然行ってないですね。大学のとき観世流の能をサークルでやっていたんですけど、芝居に対しては複雑な感じがあります。

芝居って舞台で走り回るから、あの騒音が聞こえた瞬間に、なぜかフィクションの世界に入れない。能の舞台は舞台の下に瓶(かめ)が埋めてあって、音を出すことが最初から盛り込まれているんですよ。だから能のあの世界に入り込めるところがある。

でも最近ここ10〜20年で言うと、劇団四季は仕事でも関係があって、ものすごく観るようになり、それこそライオン・キングは5つの劇場で観るぐらいですね(笑)。あとここ1〜2年は松竹とも関係があるので、すごく歌舞伎を観るようになりましたね。ちょっと広い意味では舞台を観るようにはなっているんだけど、小劇場系なんかは全く観てないままですね。ちょっと前に見たワタナベエンターテインメントの2.5次元の舞台はすごく面白いと思って、2.5次元の舞台はもっと観たいなと思っているんですけどね。

平林

歌舞伎は最近興味が出てきたのだけど、まだわからないことばかり。

玉置

歌舞伎は観始めると超面白いんですよ。あれはすごく面白いです。この前リニューアルした南座では超歌舞伎を観ました。超歌舞伎自体はニコニコ超会議で全部観ているんですけど、同じ題材でも南座でやると全然迫力や雰囲気が違いますね。

平林

質問なんですけど、歌舞伎の中で舞台の中でドンドンと叩いている黒子の人は、ツケ打ちだけ何十年もやっているんですか?

玉置

そうそう、そうそう。他もやっているかも知れないですけど。

平林

ツケ打ちを舞台でやらせてもらうまでに10年とか掛かるんですかね?

玉置

そんなポッと出の人にツケ打ちはやらせられないし、ツケ打ちはすごく大事だから。ツケ打ちでリズムが狂ったりしたら駄目ですもんね。

平林

ツケ打ちの重要性で、この人はすごいのかも知れないけど、どれだけすごいのかが分からない。そこが今の一番の興味というか。

玉置

歌舞伎は400年ぐらい前ですかね、出雲阿国が京都の四条河原で始めて、その直近にあるのが南座なんです。ずっとその出雲阿国からの伝統を守っているので、やっぱりそのときそのときの流行り廃りをうまく取り入れ、それこそ途中でスーパー歌舞伎になって、宙をどんどん飛び回ったりしてますよね。結果的にいまジャニーズが継承しているわけですけど。いまNARUTOも歌舞伎になっているし、それこそ超歌舞伎は初音ミクがやっているし。やっぱりすごく面白いですよね。

だから、僕は能をやっていたし、狂言だと例えば野村萬斎みたいな存在もある、文楽もしかりですけど、時代の取り入れ方がなかなか歌舞伎ほどドラスティックに出来ている伝統芸能はないのかなと。

平林

歌舞伎って意外と保守的じゃないんですね?

玉置

全然保守的じゃないです。それこそオーシャンズ11で出てくるラスベガスのベラジオンという噴水のところで、歌舞伎をやったりもしてます。

平林

観に行ったことがないわけじゃないんですけど、観ていてもぜんぜん分からなくて。

玉置

いろんなドラマや映画にも出ているから、海老蔵とか中村獅童は良いんですよ。

分かる人から入ればいいんですよね。

平林

歌舞伎で役者が隈取とかしていると、誰が誰だか分からなくて(笑)。

玉置

ドラマに出ているような歌舞伎役者を観ていると、こんな台詞回しや所作が出来るんだってなりますよね。

『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』みたいなところから入ればいいんじゃないですかね?

平林

そういうところから入ればいいのかな。最近歌舞伎が好きとか興味を持っている人も多いですね。

玉置

歌舞伎はだから本当に根強いですよ。

平林

廃れないんですね。

最近、歌舞伎も代替わりでだいぶ若返ってきていますよね。

平林

この前とある大学の学生の女の子が歌舞伎大好きだって言ってたよ。

玉置

若手の歌舞伎役者でイケメンもいっぱいいるしね。

平林

いろんなのがあるんですね。

玉置

だから芝居をあまり観ないって話から意外と観ているじゃないかって感じですよね(笑)。ただ偏ったジャンルを観ている感じですね。落語もすごく好きなんですよ。柳家喬太郎がすごく好きで。だから今いろいろと言われている大河ドラマ「いだてん」は僕の好きなものがいっぱい集まっていて、非常に個人的には楽しみなんです。

大河ドラマと朝ドラは異常な執着を持って見ていて、アニメと大河ドラマと朝ドラって感じなんです。

平林

けっこうそれだけでかなりの時間を費やせますね。

玉置

人生が、かなりそれに侵食されていて、もうお腹いっぱいって感じです(笑)。